予算”ゼロ”で運営している自治体から、ゴミ袋の支給、ゴミ処理費の免除、保険代等の基本的な支援のみを行っている自治体、基本的な支援プラス花苗や飲み物、 ユニフォーム等の支給まで行っている自治体まであり様々です。
一方、予算をかけ支援を手厚くすると、団体数が増えても予算が増えるわけではなく、支援内容を変更せざるを得なくなどの問題が出てきたり、 長期的にバランスよく計画することが大事なようです。
2013年度のアダプト導入自治体アンケートの結果、主な予算の用途は、清掃用具・ごみ袋、傷害保険、サインボード、花苗代等で、割合は自治体により様々です。
また、予算状況は「現状維持」としている自治体が多く、減少傾向としている自治体より増加傾向にある自治体が上回っています。参加者数増加による経費の増加が主な要因と考えます。
○ ゼロ予算と事業目標
市のクリーンパートナー制度は、予算ゼロの事業ではあるんですが、市長が選んだ重点施策の戦略プロジェクトに採用されています。 私たちも目標を達成したかどうかというところが問われるので、登録数を目標としています。
回答:八戸市環境部環境政策課(アダプト・プログラム・シンポジウム2009より)
○ 制度見直しの際の対応
Q.:香川県では飲み物の支給がなくなり、再開してほしいという要望があるということですが、 それを出せば参加者数が増えるのかどうか、感触はどうですか。
A. 飲み物の支給は参加者数の増加に直結はしないと思っています。平成21年度に制度の見直しをする際、 現在の現物支給方法を補助金方式に変更することを団体に提案しました。ところが意見交換会では、 飲み物など必要なものが必要な時に購入出来るので補助金方式に賛成というご意見がある一方で、 補助金の請求や領収書保管など団体の負担が増えるので現状のままがいいという意見もありました。 県費を出すことには厳格なものが求められるので、今後も検討していく次第です。
回答:香川県土木部道路課(アダプト・プログラム・シンポジウム2011より)
アダプト・プログラム発祥の地アメリカでは、 業者に委託していた道路清掃をボランティア団体が担うため、導入の目的が「清掃費の削減」と明確にされています。
しかし、日本のアダプト制度を導入している自治体の多くでは「費用の削減」を目的として明確にはしていません。
○ 参考例-費用対効果を表だってだしにくいのか
言いにくいことではない。お金をかけずに街がきれいになって、やっただけ意識も高まる。一人でアダプトを担当しているため活動団体の大変さがわかる。 大変さを知っているから「あなたたちのおかげでこんなにお金をかけなくていいんですよ!!」と言える。
たくさんの人がアダプトに関わる場合、関係者全員がこのような意識レベルであればいい。
回答:市町村・環境関連部署
○ 参考例-経費節減になっていないので費用対効果を図っていない
アダプトの対象は歩道でもともと関与していない。 県が実施している車道における清掃はアダプトでは危険なので断っている。 経費削減になっていないため、節減効果の計算はしていない。県民の力であり、金銭(数値)に換算することはでない。
回答:都道府県・道路管轄部署
○ 参考例-しっかりした予算組みが必要
県では河川の草刈を基本的に実施しないが、アダプトの中で草刈をお願いしている。河川管理としては意味があるかもしれないが、 本来、県費を支出していない部分に活動奨励金を交付しているので、本当にそれが経費の削減になっているのかという意見もある。
アダプトは環境美化が第一の目的で、道路・河川の管理は官民協働でやることが大きな意味となっているが、 予算をしっかり組み維持しなければ、長期的なスパンで考えた場合、今後、行政の財政的な負担がより増えてしまう。
回答:都道府県・河川管轄部署
◆行政向け制度導入・運用 事例集