

九州国際大学サッカー部80人で、学校周辺のゴミ拾いや草刈りなどを行います。
活動日が平日の場合、朝の練習後に1限のない学生で実施します。
北九州市八幡東区にキャンパスを構える、九州国際大学。建学以来「地域社会の発展に貢献する人材の輩出」を目指しており、教育を通じた大学の地域社会貢献を重要視しています。
2014年に九州国際大学に赴任した木下温子先生は、体育教員で専門がサッカーということもあり、運動部に所属する、特にサッカー部が多く所属するゼミを担当しました。
ゼミでは、人的資源(ゼミ学生)と物的資源(竣工したばかりの人工芝グラウンド)を活用し、子ども向けの「JFAなでしこひろば」(女子・女性を対象としたサッカー教室)や、高齢者向けの「グラウンド・ゴルフ」開催により地域交流を行っていました。それぞれ月1回、参加者の意見も取り入れながら開催していたことから、リピーターも増え、定着した活動となっていました。しかし2020年、世界規模で新型コロナウイルス感染症がまん延。三密回避が推奨され、「密集」、「密接」が該当するこれらの活動は中止を余儀なくされました。
ゼミでは、このまま活動を止める訳にはいかない。コロナ禍でもできること、1人でもできることを考案。そのひとつが、大学周辺を歩くコースとして「ウォーキングマップ」を作ることでした。作成にあたり実際に歩いてみると、空き缶、ペットボトル、たばこの吸い殻、不法投棄も・・・、至るところにゴミが溢れ、草が茂って見えなくなった道路標識もありました。
「いつも歩いている道なのに、ここまでひどいとは意識しないと気づかないものですね」と木下先生。こんな荒れた環境を歩かせるなんて、ウォーキングマップを作っているどころではない、まずはキレイにして、歩きたくなるようにしよう!と、ごみ拾い、雑草を抜いて花を植える活動にしようと企画しました。
このタイミングで、八幡東区の団体が「みんなで一緒に八幡をキレイに」と、八幡にちなんだ「8」のつく日を「やはたの日」と制定し、毎月8日に清掃活動を始めようとしていました。第1回目となる2020年12月8日に木下ゼミにも声がかかり参加。同日には、草を抜いて、花を植える活動も行い、まさにこの日が今日まで続く活動の初日となる記念すべき日となりました。
しかし、除草し植栽したのは、サッカー場に面した大学の敷地に過ぎず、フェンス1枚隔てた歩道の植え込みは背丈ほどの雑草に覆い尽くされています。とはいえ、無許可で管理することはできません。どこの誰に聞けばいいのか?と模索した結果、「市民花壇 – 北九州市」という活動があることが分かりました。区役所に相談に行き、事情を説明、申請手続きを経て、2021年度よりボランティア団体として認定されました。早速、6月には240株の花苗について助成を受け、植栽。さらには、灌水、施肥、除草・・・特に夏場は、かなりの労力です。ごみ拾いも、花壇の管理も、もっと広く協力者、理解者、仲間を増やせば、ポイ捨ても減ってよりキレイな街になるはず。その協力者であり仲間がゼミ生が所属するサッカー部でした。

大学周辺は、タバコの吸い殻が目立ちます
2019年12月に全国大会出場を果たしたサッカー部は、強いこと、勝つことも大事であるが、「大学サッカーの価値」について考え、2020年から「Football SDGs」と掲げ、サッカーを通じて地域や社会に貢献できる取り組みを始めていました。しかし、その矢先、世の中はコロナ禍。制限ばかりの日々が続き、できる範囲、やれる範囲の活動していました。「ゼミ活動を広げれば、もっとできるちゃない!」と、協力者、仲間として、サッカー部のSDGsとして発展することにしました。ゼミの人数は15名人弱、サッカー部の部員は80名あまり。活動の規模も大きく変わります。せっかくするなら、「やはたの日」の8日だけなく、18日、28日もやろう!!!
月3回は、ゴミ袋(北九州市から支給)とトングを持って、大学周辺の歩道を8人グループ、8の字を描くように8コース(+2つの花壇管理)をグルグル回るようになりました。すると、「こんなに活動しているなら、北九州市『道路サポーター』というボランティアにも申請した方がいいよ」と紹介を受け申請、2022年1月「北九州市道路サポーター」に認定されました。これは、道路の「美化と清掃」、「整備と点検」をするボランティアです。さらに、花苗200株、軍手や竹ほうきなど用具も助成を受けることになりました。
現在の「8のつく日」は、平日は早朝練習後に授業に支障がない(1時限目に授業がない)学生が中心にゴミ拾い、比較的時間がある土日祝日は、ゴミ拾いに加え草取りも実施。グループの構成は、学年やチームをバラし、接点が少ない学生同士が組むなど工夫しています。また、活動時には、サッカー部を支援していただいているスポンサー企業のロゴが入ったTシャツを着用し、企業のPRとともに、SDGsの啓蒙も兼ねて行っています。
最近では、サッカー部も認知されたようで、「いつもありがとう」「花を見るために散歩コースにしたよ」「毎日通るのが楽しみ」など声をかけてくれる地域の方や、歩道からグラウンドを見通せるようになったことで花越し試合を試合観戦する方も増えました。
部員で作った花壇は、北九州市「花と緑のまちづくりコンクール学校部門」において、2024年には「新人賞」、2025年10月には「優良賞」と、2年連続で受賞することができました。

グループに分かれ、トングを片手にゴミを拾っていきます
ゴミの中でも目立つのが、タバコの吸い殻と空き缶。取材当日も植え込みや草むらに投げ込まれている空き缶や、道路沿いの側溝に捨てられたタバコの吸い殻を見つけては、競い合うように拾っていました。「チームのみんなと一緒に地域貢献できるのが魅力」「地域の役に立っているのがうれしい」といった意見が多く、就職活動中に「ガクチカ」としてPRしたという4年生もいました。拾ったゴミはある程度たまるまで部室で保管。連絡すれば、市が委託している環境センターが回収に来てくれます。

草刈りをした結果、ポイ捨てされたゴミが見つけやすくなりました。
これらのボランティア活動は、他団体は高齢化による活動縮小、人材不足による活動終了が課題となっています。一方、大学生であるサッカー部は18~22歳のメンバーが構成されるため同様の心配はありませんが、構成員が4年間で全員入れ替わるため、活動開始の背景や理念、熱意が継承しにくいという課題があります。学生によっては、「やらされている」と思いながら活動している場合もあるため、「理念の浸透」や「意識向上・育成」が今後の課題です。

あまり交流のない部員同士で、おしゃべりをしながら活動できるのがポイント。
植え込みの陰に隠すように、空き缶・ペットボトルが捨てられていました。
目標は活動を大学全体、さらには地域の方も含め、みんなに広げて取り組んでいくことです。学内では、「ゴミ拾い」=「サッカー部」の活動になっていますが、周囲を巻き込むことでポイ捨てがなくなることだけではなく、「SDGs」の啓蒙ともなり、自分事として実践につながるきっかけになればと思っています。

花越しに練習風景や試合を見てもらえるように、グラウンド前の花壇を整備。

季節の花が咲く花壇は地域の人からも好評で、人気の散歩コースになっています。
■九州国際大学 Kyushu International University – 法学部法律学科・現代ビジネス学部地域経済学科および国際社会学科(外部サイト)