アダプト・プログラム

アダプト・プログラムの事例紹介


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2024年3月

ジョギングをしながらごみを拾う「プロギング岐阜」(岐阜県岐阜市)

一般社団法人くらげれんごう

●早朝に実施することで、すがすがしさがUP

 プロギング岐阜は毎月第四日曜の朝6時から、市内中心部のごみ拾いを行っています。早朝から活動を行う理由はいくつかありますが、最も大きいのがすがすがしさ。冬の早朝はまだ暗くスタート時は懐中電灯が必要なこともありますが、ごみを拾っているうちにあたりが少しずつ明るくなり、活動が終わることに日が昇り始めます。昇ったばかりの朝日がきれいになった町を明るく照らす光景は、たまらなく美しく気持ちが良いのだとか。「仕事前に参加できる」「朝早い時間に活動が終わるので、午前中に予定が入っている日でも参加しやすい」「休みの日に早起きすると、1日を有効活用できる」という意見もありました。
 活動の中で最も特徴的なのが、「プロギング」という手法をとっていること。プロギングとはジョギングをしながらごみを拾う新感覚のフィットネスで、スウェーデン語の「拾う(PlockaUpp)と「ジョギング(Jogging)」を合わせた言葉。スウェーデン出身のアスリートが2016年ごろに、ごみ拾いをしながらランニングを始めたことが発祥といわれています。発起人の一人である林美鈴さんは、数年前に雑誌で「プロギング」の特集記事を読みました。記事を読んで「すごいな、おもしろそうだな」と思った林さんでしたが、スポーツをした経験がないため「私は走れないから、プロギングは無理かな…」と感じたそうです。ただ、「なんとなく心に引っかかるもの」があり、プロギングのことは気になっていたそうです。
 それから1年ほどだった2021年、テレビ番組でウォーキングをしながらごみ拾いをしている人たちの活動を知ります。「これなら、私にもできる」と感じた林さんは、友人たちに「一緒にやろう」と声をかけました。集まってくれた友人7人にプロギングの趣旨を説明したところ、「面白そうだから、ぜひやろう」と賛同。2021年5月から有志で団体を立ち上げ活動することになりました。

●町も体も心もすっきりし、誰でも参加できるのが魅力

活動日は朝6時前に集合し、「ジョギングチーム」と「ウォーキングチーム」に分かれます。ジョギングチームは金華橋通り、JR岐阜駅周辺、神田町通りを走りながら、ウォーキングチームは柳ヶ瀬アーケード内を歩きながらごみを拾います。活動を始めたばかりのころは岐阜公園を中心に行ったそうですが、意外にごみが少なかったのだとか。「せっかくごみ拾いをするなら、たくさん拾えた方が楽しい」「町の中心部で活動した方が、もっと町をきれいにできるのでは?」という意見が出たこともあり、ごみ拾いのエリアを市内中心部に変更。飲食店などが多く立ち並ぶ柳ヶ瀬アーケードや、官庁街の金華橋通りを中心に活動することになりました。「どちらのチームが、ごみをたくさん拾えるか」を競うため、出発前には「今日は、このあたりを中心にチェックしよう」と作戦会議を実施。念入りにストレッチをしてからスタートします。
 プロギングには「走る、しゃがんでごみを拾う、元の姿勢に戻る」という一連の動作が加わるため、筋肉や体幹を鍛えることにつながりますし、普通にジョギングをするより消費カロリーがアップします。「普段からウォーキングをしているけれど、プロギングはウォーキングでは使わないような筋肉を使うので、運動になるし気持ち良い」という人も。誰でも気軽に町の美化に貢献でき、健康促進にもつながることから、世界100カ国以上に活動が拡大。現在はSDGsスポーツとしても注目を集めています。
 参加メンバーは時期によって変動しますが、毎回10数人が集まります。年代も職業も住んでいる地域もバラバラ。徒歩や自転車で参加している人もいますが、各務原市や愛知県一宮市など隣接する市からの参加者も目立ちます。みなさん、知人や友人から誘われたり、ホームページや新聞の紹介記事を見たりして参加されているそうです。ジョギングチームのメンバーは趣味でランニングをしている人が多く、ランニング仲間のクチコミで知った人が大半でした。近所に住んでいるという女性は、「早朝と日中は同じ町でも見える物が違いますし、普段通らない道に入ると知らない景色が広がっています。住んでいる町を探検しながら、宝探しをしている気分です」とのこと。一番多いのはたばこの吸い殻ですが、季節や天気、繁華街と官公庁街でごみの種類が変わるのも興味深いのだそうです。
 取材当日は、小学校1年生の男の子も活動に参加していました。初めて参加した4歳のころは大人と一緒に歩くだけでしたが、今では大人顔負けの量のごみを見つけます。ごみを拾うとみんなが「ナイス、クリーン」とほめてくれるので、とってもうれしいと教えてくれました。活動日は家族の中で一番早く起きるほど、参加を楽しみにしているのだとか。ウォーキングやジョギンをしながらごみを拾うと、体と心がスッキリし、町もきれいになります。小さい子どもも楽しく参加できるのも、プロギングの良いところです。

木や貝殻などに、プラスチックの破片が混じっています

(ウォーキングチーム)

木や貝殻などに、プラスチックの破片が混じっています

(ランニングチーム)

●自分たちが楽しめるペースで継続するのが大事

 各チームは約1時間かけて町を巡ってごみを拾い、集合場所に戻ってきます。全員が戻ってきたところで、チームごとにごみを集めて計量。「どちらのチームが、ごみをたくさん拾ったか」が目に見えて分かる計量タイムは、毎回非常に盛り上がるのだとか。この日の計量は、ウォーキングチームが16.23kg、ジョギングチームが11.5kgで、ウォーキングチームの勝利となりました。計量後はごみ袋からごみを出して分別、指定場所にまとめて出し、岐阜市の担当課に回収してもらいます。

親子で参加する人も多くいます

(拾ったごみを計量しています)

 ボランティア活動は、ポジティブ思考で楽しくコツコツ続けるのが大事という林さん。継続のコツは、無理をせず自分のペースで楽しむことです。自分が参加してみて楽しければ友人や知人に勧めたくなりますし、自分のペースを掴むことで無理なく継続できるようになります。「おもしろいから、一緒にやってみない?」というクチコミの輪が、活動を自然と広げてくれるのだとか。今後も自分たちのやり方で、楽しみながら継続していきたいと語ってくださいました。

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