グリーンラインを愛する会(広島県福山市) | 公益社団法人食品容器環境美化協会
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2016年12月

グリーンラインを愛する会(広島県福山市)

「何とかしなければ」が集まって…

ap-jirei1612-001 (写真 桜が美しいファミリーパーク)
 

広島県福山市の県道251号線、通称グリーンラインとその沿線の清掃・緑化活動を行う「グリーンラインを愛する会」。その活動内容は多岐に渡ります。メインとなるのは、沿線のゴミ拾いと、瀬戸内科医国立公園後山を中心とした清掃活動。倒木・危険木の伐採や除去、植樹運動、イベントに加え、公園の整備まで行います。活動は月1回毎月第2日曜日で、活動終了後は参加者全員が集まって、手作りのカレーを食べるのが楽しみなのだそうです。メンバーは福山市内中心部の方が中心で、グリーンライン沿線在住の方はほとんどいないのだとか。日常的にグリーンラインを利用することがない皆さんが、どうしてこの場所で清掃活動をしているのでしょう。それは、この道路の成り立ちと深く関係していました。
グリーンラインは、福山市鞆町後地福山市水呑町を結ぶ県道。鞆の浦や燧灘・尾道水道を一望できる観光道路として、1974年に開通しました。開通当初は有料道路で、多くの人が足を運んだのだそうです。「われわれ団塊の世代にとって、グリーンラインは青春の場所。彼女を連れて夜景を見に行ったり、友達とドライブしたり、一度は行かないと…というあこがれの場所でした」と語るのは、グリーンラインを愛する会代表の、丸山孝志さん。丸山さん自身も、グリーンラインが開通した時には、ドライブにでかけたそうです。一時期はブームになった場所でしたが、観光道路としては定着しませんでした。交通量が少ないため6年後には無料開放され、1990年代後半にはすっかり荒れ果ててしまいます。松枯れによる倒木やゴミの不法投棄、暴走族が走り回るうえ野犬の群れまで出るようになり、地元の人すら「危ないから通りたくない」と敬遠される場所でした。丸山さんは偶然市議会議員と話す機会があり、雑談程度で「行政はどうしてグリーラインを整備しないのか」と尋ねたのだそうです。すると「グリーンラインに不法投棄するのも、犬を捨てるのも、暴走しているのも、行政の人間ではありません。グリーンラインが荒れ果てたのは、行政だけの責任なのですか?」と逆に質問され、その言葉が心に刺さったのだそうです。バブルが崩壊し、行政が環境整備にかける予算が削減され始めた時期。丸山さんは「何とかしたいなら、自分で動かなければ」と活動を開始。市議会議員の講演会メンバーを中心に、グリーンラインのゴミ拾いを始めました。 

拾っても拾っても減らないゴミ。心ない人の批判との戦い

2000年にスタートした清掃活動でしたが、最初の5年間は酷いものだったといいます。2トン車いっぱいにゴミを拾っても、次の活動日にはまたゴミが捨てられている。「ゴミを捨てたいなら、グリーンラインに捨てればいい。ボランティアが片付けてくれる」という噂が立つほど、ゴミは減りませんでした。「本当に、いたちごっこ。どんなに清掃してもきれいにならないからと、多くの人が活動を辞めていきました。
グリーンラインでもう一つ問題だったのが、野犬の群れと捨て犬です。人間に飼われたことのない野犬は、保護しても人に慣れません。当時は捨て犬の飼い主を探すことすら難しく、野犬を引き取って育ててくれる人を探すことは困難でした。「同時進行で捨て犬の里親探しをしていましたが、捨て犬ですら引き取り手がないのに、野犬を引き取る人はいない。犬を殺すなと非難されましたが、ほかにどうしようも無く、泣きながら捕まえて保健所に連れて行きました」丸山さんは、当時の思い出を語ってくれました。グリーンラインを愛する会では現在も、捨て犬の保護と里親探しを行っています。

ap-jirei1612-004 (写真 不法投棄された結納セット)

懸命な活動が周囲を動かす

そんな大変な思いをしても活動を辞めなかった理由は、丸山さん自身にもよく分からないそうですが、原動力となったのは「グリーンラインを、なんとかしたい」という思い。収集したゴミの処分方法や清掃活動の件で何度も市役所に足を運ぶうち、自然と行政との連携も生まれてきました。後山園地への植樹や、展望台の設置は、すべて丸山さんが行政に話を持ちかけて生まれた事業です。特に展望台は、予算や設計図ができるまえから行政と意見交換をし、整備を進めたそうです。 
現在グリーンラインを愛する会が構想しているのが、グリーンライン沿いにある大型公園・ファミリーパークに隣接するキャンプ場の整備。整備されず朽ち果てていたキャンプ場に舗装道路を引き、道路を挟んだ向い側のファミリーパークとトンネルなどで安全に行き来できるようにする計画です。資金集めから始める必要があるため完成予定などは未定ですが、少しずつできるところから始めています。

<団体概要>
グリーンラインを愛する会
ホームページ:http://greenline251.com/

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