(1) 総合計画等とのリンク、位置付け
(2) 他の制度との棲み分け
自治体によっては「協働事業」または「環境事業」として条例、総合計画、基本計画等に制定されています。また、それらに位置付けされてない自治体も多くあります。
○ 条例制定①(桑名市)
平成12年3月、桑名市環境基本条例を制定。第13条に「市は市民・市民団体、または事業者による良好な環境の保全と改善に関する自主的な活動の促進を誘導するため、情報提供その他必要な支援の措置を講ずるものとする」とあります。それから平成13年に広域の環境基本計画を策定し、平成14年3月に桑名市環境美化条例を制定。第12条では「市長は公共空間の美化、及び緑化を促進するため、環境美化施策を実施するものとする」としました。
桑名市環境関連施策の体系として、環境基本条例・基本計画のうち、環境美化条例にアダプト・プログラムというものが入っております。
回答:桑名市環境部環境政策課(アダプト・プログラム・シンポジウム2008より)
○ 条例制定②(鎌倉市)
「ごみの散乱のない美しいまちをつくる条例」に基づき「第2次まち美化行動計画」が策定されており、アダプトの推進が明文化されている。
主要駅3駅(鎌倉駅、大船駅、北鎌倉駅)をまち美化推進重点エリアとして指定。
回答:鎌倉市環境部環境保全課
○ 基本計画・行財政集中改革プラン(狭山市)
中期基本計画 第1章「緑豊かで環境と共生するまちをめざして(環境共生)」、第3節「快適な生活環境の確保」、3「環境の美化とモラルの向上」の中に、アダプトが取組み目標として、盛りこまれている。
行財政集中改革プランの個別行動計画の取り組み項目としてもアダプトの実施団体数を位置づけている。
回答:狭山市生活環境課
○ 総合計画(広島県)
県の総合実施計画の中にNPOや地域活動団体等との協働事業の1つとして盛り込まれているが、アダプト単独で推進する項目はない。協働事業の1つであるため環境計画には盛り込まれていない。
回答:広島県道路河川管理課
他にも環境美化政策がある中でなぜアダプトなのか?
清掃用具(ホウキ、ゴミ袋、軍手等)やユニフォーム等の提供などの予算を考慮しても、継続的な清掃活動によりまちがきれいになるだけでなく、周囲への啓発効果、地域活性、高齢者の社会進出、協働事業の推進等さまざまなメリットがあり効果が高いと言えます。
ただし、自治会の奨励金制度や、制度に登録しなくても自主的に美化活動を行っている方もおり、アダプト制度にこだわらなくてもいいという考えもあります。「まちをきれいにしたい」という気持ちが大切であり、それぞれの制度の特徴をとらえ、その土地に合った制度を導入すればよいのではないかと考えます。
→関連リンク: 「2. 導入の目的、メリット(成果・効果) 」(リンク)
愛護会制度 | アダプト・プログラム | |
目的 対象場所 |
公園、道路、河川などの公共施設の美化、愛護精神普及を目的とする。「愛護会」が自治体施設管理部署と協働して清掃・美化や維持活動などを定期的に行う。 | 活動団体は、地縁組織の他、企業、ボランティア団体、サークルなど多種多様。また、アダプト活動を行うために「愛護会」といった特別の団体を作る必要はない。 |
活動団体 | 活動にあたり「愛護会」を結成する。愛護会会員は町内会・自治会・老人会・子供会など地域の地縁組織が主体であることが特徴。公園の場合は、公園ごとに愛護会を結成し、1公園1愛護会の活動が基本となっていることが多い。 | 活動団体は、地縁組織の他、企業、ボランティア団体、サークルなど多種多様。また、アダプト活動を行うために「愛護会」といった特別の団体を作る必要はない。 |
自治体の 支援 |
活動面積などに応じた交付金・助成金など金銭による場合が一般的。傷害保険加入、サインボード設置を行う例もある。 | 資金ではなく、清掃用具・資材の提供・貸与など現物支給によるものが一般的。 |
◆ 愛護会制度、他部署の美化制度等、他の制度と棲み分けをしているか
例えば、公園報奨金は町内会の活動資金源でもあるためそれを廃止・統合するとなると難色を示したり、 自治体としても活動対価を支払うことで、若干でも口を出すことが出来ます。それに対してアダプト制度は、ボランティア的な要素が強く自主性を尊重している ため、回数の基準等があっても強制できるものではないという点もあります。
しかし、バラバラで行われている市民による清掃美化活動を統合・まとめることで市民に分かりやい制度となります。
また、連携が取れているのであれば、どこかの制度に一元化するのではなく、それぞれ持っている制度をうまく活用することひとつです。
目的は「まちが綺麗になること」です。いろいろな仕組みがあり、市民が自分に合っている制度を選ぶという手もあるのではないかと思います。
○ 統合した事例(箕面市)
市民自主管理活動支援制度が、平成22年4月からスタートしました。
公園、道路など公共施設における美化活動への支援制度として、これまでのアドプト制度(花苗・物品配 付による支援)と報償金制度(報償金支給による支援)を統合して、新たに市民自主管理活動支援制度がスタートしました。市民自主管理支援制度は、清掃(月 2回以上)除草(年2回以上)など活動内容及びその量に応じてポイントを付与して、ポイントの合計を交付金額に換算して活動資金として支援するものです。
→関連リンク: 市民自主管理活動支援制度 (箕面市ホームページ・外部リンク)
◆行政向け制度導入・運用 事例集