第9回(2008年度)環境美化教育優良校等表彰(審査委員長講評) | 公益社団法人食品容器環境美化協会
環境学習支援

第9回(2008年度)環境美化教育優良校等表彰(審査委員長講評)



審査委員長
東海大学教授
小澤 紀美子 氏

受賞された皆様おめでとうございます。今回初の試みでしたが、映像で皆さんの活動をご紹介いただき、とても皆様の笑顔が素敵で、うれしく拝見しました。
今回の審査にあたりましては、継続して実践していること、さらに地域の方たちと連携を行っていることを評価の視点としました。容器包装材の社会システムを学ぶためには、教科書や教室の中だけでは学ぶことはできないので、「教室をこえて」学ぶことが大切です。

皆様の活動は、子どもの体験の意味、それを経験化していくという重要な意味があったと思います。
ただ単なる体験で終わらせるのではなく、児童生徒さん自身が学校で習ったことや地域で体験したことをつないで、「未来への物語」がつくられていたと思います。 さらに、社会の中において「関係づけていく力」が育成されていたと思います。教室をこえて学んでいく場が非常に多彩であったと思います。
川があり、森があり、海があり、干潟があり、農業など、自分たちの地域の大事な営みがあり、そことつながった活動で、それが住んでいる地域やまちづくりにつながっていたと思います。環境教育は未来をつくる教育であり、未来をつくる力を育て、先生方も児童生徒さんから学んで、お互いに探求的な活動、お互いに学びあう関係づくりをしていると捉えています。多様なフィールドで、地域の方にふれあう活動は、多様な価値観にふれあうことであり、多様性は可能性につながっていくと思います。

私の好きなエッセイに司馬遼太郎さんの「21世紀を生きる君たちへ」があります。
司馬さんは、人間は自分で生きているのではなく、大きな存在によって生かされている、そのために自己を確立しなければならないと述べています。
人という字は、支えるという形になっています。人間は社会の中で生き、社会をつくっているのですから、社会を支え合う仕組みを作らなければいけない、その時に一番大事なことはいたわること、他人の痛みを感じること、そういった心の感じ方を持った人格を形成しなければならないと司馬さんは述べています。
そういう意味で、本日、受賞された皆さんの活動や学びは、大人に「日本の未来は明るい」と頼もしさを示してくれたと思います。皆さんがこれからも自ら率先して環境保全を実践してくれることを期待して、審査講評とさせていただきます。

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