本島中学校がある本島は、瀬戸内海国立公園の塩飽諸島の一つであり、塩飽勤番所跡や笠島など史蹟も多く残っています。 港の近くにある泊海水浴場は美しい砂浜で、夏休みには多くの観光客が訪れ、島出身の人たちも帰省します。みなさんを気持ちよく迎えようという声が生徒会からあがり、昭和62年の夏休み前に「島内クリーン活動」が始まりました。「自分たちの島を、自分たちの手で美しく」というスローガンのもと、年4回(3月、7月、12月及び遠足時)島内と牛島の清掃をしています。
本島から見た瀬戸大橋
本島中学校では「潮風タイム」という総合的な学習の時間の中で環境教育を取りあげ、年間計画の中にクリーン活動を位置づけています。 「拾っても拾ってもなくならないゴミ」に対し、「自分たちは捨てない」という意識が芽ばえてきました。 活動を先輩から後輩へ引き継いでいこうという「つながり」の意識も高まっています。クリーン活動はほとんどの住民が知っており、すれ違う人々は「ご苦労さん」と声をかけてくれます。
冬場の泊湊はあ空き缶やペットボトルよりも落ち葉の量がすごい
クリーン活動のほかにも、学校前の花壇に花を植えたり、植林ボランティアに参加するなど、環境美化活動にも取り組んでいます。こうした活動が認められ、 平成18年には香川県から緑化功労者感謝状を、平成19年には(財)瀬戸内海放送環境美化振興財団から環境美化奨励賞を受賞しました。 島の過疎化が進み、生徒数も減少していますが、保育所・幼稚園、小学校、中学校の合同PTAを母体にして、 幼小中の連携をはかって活動を盛り上げていこうとしています。
笑顔で泊港周辺の空き缶やペットボトル拾いをしている
瀬戸大橋を間近に見ることが
できる泊港でグリーン活動
島にある本島小学校西分校は廃校ですが、取り壊されていないので坂口憲二さんが主演した「機関車先生」や稲垣吾郎さんが主演した「金田一耕助シリーズ」など映画やTVのロケに使われています。こういうものは、大切にしたいと思っています。 海水浴シーズンは観光客も多くて、ゴミも少人数ではまかなえないくらい大変な量になります。空き缶や投げ捨ててあるゴミを回収しますが、本島の向かいにある牛島にも2年に一度、海岸清掃に行っています。清掃活動をするととても気持がいいですが、きれいになった海水浴場で泳ぐのはもっと楽しいですよ。 賞をいただいたことはとてもうれしいですが、責任の重さも感じています。「これからもクリーン活動を続けていきたい、続けなければならない」と思っています。
職員は私を含めて10名。生徒は多いときは200名ほどいましたが、今は11名となりました。少人数なので何をするにも一緒。活動の息も合っていますよ。
本島は瀬戸大橋の眼下にあって、風光明媚な島として知られます。泊海水浴場は、平成18年に「快水浴場全国特選」にも選ばれているように、水質が素晴らしく、夏には多くの海水浴客が訪れます。3月には本島中学校をスタート・ゴールにしてマラソン大会も行われます。
クリーン活動は昭和62年から始まって20年になりました。活動が生徒にとって「ふるさとを愛し、ふるさとに誇りを持つこと」につながり、過疎化が進む島を元気づけることになればと思っています。本島は、島全体で美化への意識が高く、各種団体が島内各地で定期的に清掃活動を実施していますが、できるだけ日程を調節して合同の活動ができるように連携をはかっています。この受賞が島民全体の喜びとなり、よりいっそう島を愛するようになってくれることを願っています。
泊港から海水浴場へとつながる
島のメインストリートでの活動
私も昨年まで、本島中学校の教師として4年間、一緒にクリーン活動に参加していました。当初は本島だけだった区域も対岸の牛島まで行って清掃したり、泊海水浴場のほかに屋釜海水浴場でもクリーン活動をやったり、小学校の生徒を巻き込んだりと、活動の範囲も内容も拡がってきています。牛島は、校外学習(遠足)を兼ねて船で渡るのですが、高齢者の方が多いのでみなさんに感謝されています。
本島も過疎化、高齢化が進んでいます。活動は生徒たちが自主的に行っていますが、春の「マイペースマラソン」や夏休みの海水浴シーズン前などお客さまがたくさん訪れる時期には、清掃活動は地域にとっても頼もしく、ありがたく、多くの人に喜ばれています。