最 優 秀 校
活 動 内 容
新潟市の西部に位置し、校舎から日本海や佐渡島を見晴らせる同校。その恵まれた環境を守るために全校で取り組むのが、小針浜海岸の清掃活動だ。今年で 26 年目を迎える伝統行事として知られる。校区は現在、高度経済成長期に開発された住宅地が広がるエリアだが、かつては砂丘地帯だった。人が住む町としての歴史が浅いため、代表的な地場産業や祭りといった、地域を象徴するものが育ちにくいという課題があった。そこで、学校が中心となり、児童が地域の良さを見つけ、その魅力を高めていくことで、地域のアイデンティティーを築こうと、2020 年から開始したのが、「大好き新潟-見つめよう真砂の自然・守ろう自然環境」プロジェクト。
長年続く海岸清掃活動を単なる恒例行事で終わらせるのではなく、それを軸に、児童が地域や環境について課題を見つけ、問題意識を持って行動し、話し合いを通じて解決する能力を育む活動へと発展させた。主に 4 年生が、全校で行う海岸清掃の前に、浜辺を訪れごみ調査を実施。同時に、本や映像などで漂着ごみについて知識を深め、問題を自分事として考える。清掃当日は、ごみの回収係、集計係、写真記録係など担当を決めて、ごみ分別しながら活動。新潟海上保安部の協力を得て、指導や解説を聞いた後、児童は、回収ごみを種類別にグラフ化する。分析を通じ、プラスチックや海外からの漂着ごみの多さに驚いた児童は、小針浜をきれいにするための解決方法を話し合った。その結果、浜辺を利用する人へ発信しようと啓発ポスターを作成し、地域の病院や商業施設、海の家などにポスターの掲示を依頼。
児童を見守る住民の三國義則さんは、「大人が捨てたごみの後始末を子どもたちが行うのは残念なことですが、子どもからの発信で、地域全体に美化の意識が広がっています」と効果を語る。
以前に比べ、海岸のごみは減少。普段からポイ捨てごみを気にかけるなど、児童の意識にも変化が見られるようになった。
“海と砂浜しかない”から、“自慢の美しい海と砂浜がある”へ―。海岸清掃を機に、地域への誇りが着々と育まれている。
授 与 式
表彰授与に際し、コメントをいただきました。
◆ 学校長 岡本 泰子 様
『3年前に私が真砂小学校に初めて来たときに、学校代表の児童が、『真砂小の自慢は、校舎から見える青い海』というお話をしてくれました。この言葉を聞いた時に、海を大事にしていくことを、子どもたちと一緒にやっていきたいなと思いました。毎年行っている海岸清掃をきっかけに、みんなで環境のことを考えて、自分たちでできることに取り組んでくれたことを本当にうれしく思います。』
◆ 児童代表 渡部 里咲さん
『私は今、うれしいあまりドキドキしています。環境大臣賞を頂けてとてもうれしく、感無量です。1年生の頃から続けてきて良かったと思いました。約26年間やってきた歴史に、新たに名を残せたと思います。』
◆ 児童代表 六間口 花音(ろっけんぐち かのん)さん
『私は環境大臣賞を頂いて、環境を守る活動を続けて良かったなと思いました。海のことを調べたとき、キレイな海にしたいなと思って頑張りましたが、その思いと活動が認められて、受賞したんだと思います。これからも、海岸清掃活動を続けていきたいと思います。』
◆ 新潟県県民生活・環境部 環境企画課 企画調整係 地球環境対策室長 土屋 江理子 様
『海岸清掃は26年目になるとお聞きしました。今回の受賞を機に、この活動が長く続くことを願っています。そして、地域との連携を深めて、地域にも目を向けた持続可能な社会、将来の新潟県を背負っていく子どもたちが育っていくと嬉しく思います。』
◆ 新潟地連 泉水 謙二氏(キリンビール株式会社)
『活動紹介の映像を見て印象的だったのは、日本海のきれいな夕日を描いた手づくりの啓発ポスターで、新潟らしさを表現していると思いました。そうした気持ちがあるから、海を含めた環境を大事にしていきたいという気持ちが一人ひとりに根付いているのだと思いました。我々も環境保全に取り組んでいる団体ですので、今後も継続していくことと、手と手を取って盛り上げていけたらと思います。』