第5回(2004年度) 散乱防止活動部門 最優秀校 文部科学大臣奨励賞 | 公益社団法人食品容器環境美化協会
環境学習支援

第5回(2004年度) 散乱防止活動部門 最優秀校 文部科学大臣奨励賞


山形県酒田市立浜中小学校

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受賞時(2004年度)の活動概要

日本海に沿って白浜が続く庄内浜。その近くに位置する同校では、庄内支庁や酒田海上保安部と連携した浜中海岸漂着物調査を1999年から開始。「しおかぜ学習」と名付けて、主に4年生が総合的な学習の時間を使って、地域環境について学習している。海岸に広く点在する埋没・漂着物は、ペットボトルやビニール袋などに細かく回収分別し、過去と比較しながら調査を進めているのが大きな特徴だ。ごみの多さに憂慮した児童は、看板を設置してポイ捨て防止を呼びかけたり、地域行事等で調査結果を発表したりして地域へ広く訴えている。もともと美化意識が高く、1965年から全校児童による海岸清掃活動を継続して実施。通学路クリーン作戦や親子資源回収にも取り組む。その様子に触発された住民たちの参加も年々増加し、地域ぐるみで環境問題に立ち向かう姿勢が整っている。

受賞から15年後

2019年現在の活動状況

地域の中で輝き、つながる大切さが継承される美化活動

1. 活動の広がり

4年生が中心となって取り組む「浜中海岸漂着物調査」は現在も継続して行われており、海上保安庁や庄内総合支庁の協力のもと、より地域に根差した環境学習を展開している(①)。さらに、全校児童による庄内浜クリーンアップ作戦は、開始当初よりも認知度が高まり、地域住民や団体、地元企業など徐々に参加人数が増加(②)。砂浜がきれいになることで美化意識が磨かれるだけではなく、他の人のために働くことの大切さや、住民との触れ合いなどを通して地域の良さが実感でき、ふるさとへの愛着が芽生える行事に発展している。長年続いている年3回のPTA主催で行う資源回収にも、児童は積極的に参加して親子で分別意識を養っている(③)。

2.環境の変化

海岸では、児童が地道に美化活動を行っていることが周知啓発につながり、昔に比べてポイ捨てごみは減少しているものの、海外の飲料容器などの漂着ごみが目立つようになった。町においては、主に1、2年生が、お世話になっている施設に感謝の意を込めて季節の花々を植えて交流を図るなど、地域に彩りと活気をもたらしている(④)。

3.住民との関わり

昔、この地域は砂嵐に悩まされてきたが、みんなで力を合わせて黒松を植林し、暮らしを豊かにしてきた歴史がある。そうした地域一丸となって取り組む姿勢が培われてきた住民と関わりを持つことで、児童はその意思をしっかり受け継ぎながら、指示されなくても人や環境のことを考えて行動に移している。

4.これから

「裸足で歩ける安全な海水浴場にしたい」「夕日が真正面に見える浜中の海が大好きです。これからも大切にきれいにしたい」「浜中の海ごみを全部拾ってきれいにしたい」・・・。庄内浜クリーンアップ作戦を行う際の、児童の力強い意気込みだ。願いが叶う日まで児童の奮闘は続く(⑤)。

環境美化活動に関わる人たちの声

2004年度卒業生 川村 真里さん(看護師)・ 秋山 貴雄さん(農家)

秋山「受賞時は6年生でした。15年も前ですが、海岸清掃を行い、ごみが多い場所にポイ捨てしないよう啓発看板を設置したのを覚えています。看板設置前と設置後で、ごみの量がどう変化したのかを調査して、地域行事で発表するなど、環境をよくするために懸命に取り組んでいました」

川村「学校から清掃する海岸までは結構距離があり、帰り道は、暑いし疲れているし、辛かった記憶が。思えば、今と違って、あの頃は熱中症対策もなく、帽子もかぶらずに黙々と清掃活動をしていましたね。当時が懐かしいです」

秋山「サボる子もいなくて、みんなひたすら真面目に取り組んでいました。あの頃はピュアだったからなぁ(笑)」

川村「海岸エリアに住んでいなければ、実際に海ごみがどれだけあるのかわからないし、なかなか関心が湧かないと思うので、現地に行って自分の目で確かめて美化活動の体験をすることがとても大事だと、改めて実感しています」

秋山「後輩たちにはこれからも海岸清掃活動を続けていってほしいですね」

川村「ポイ捨てしない大人が増えるように美化活動に取り組んでください」

地域住民 小林 正廣さん(浜中コミセン副会長 衛生組合長)
高山 龍太郎さん(浜中自治会長・写真右)

高山「子どもたちが海岸清掃を始めた昭和40年代は、ごみステーションがあってないようなものだったから、あちこちにごみが捨てられている状況でした。そうした環境下、子どもたちの積極的な美化活動のお蔭で徐々に改善されてきました」

小林「今年の庄内浜クリーンアップ作戦は、200名以上参加しました。この辺りは、浜中の特産物であるメロン農家が多く、ちょうど収穫最盛期と重なって、美化活動に参加できない住民がいたのが残念です」

高山「最近気になっているのは、食べ終わった後の弁当容器や缶、ペットボトルなどが入ったコンビニの袋がそのまま捨てられていることです。自動販売機の周囲にも、飲料容器が散乱しています。大人がぽんぽん捨てていくごみを、小学生が懸命に回収するという現状があります」

小林「子どもたちが家に帰って、家族にごみの話をしてもらいたいですね。ごみの問題は、一人ひとりのモラルの問題でもあります。児童の美化活動は、貴重な抑止力になっているので、今後も継続実施してほしいです」

在校生6年 梅木 蒼波さん(プロジェクト委員長)

海岸清掃をする前は、海外から漂着してきたごみがいっぱい落ちていますが、それを僕たちが拾うことできれいな砂浜になるのがとてもうれしいです。でも、手が届かない海岸の奥には、拾いきれないごみも残っているので残念な気持ちにもなります。これからもごみがない町を目指して、今よりももっときれいな海岸にしていきたいです。

環境担当教諭 小野 恵美さん

『ぴかぴかの海だと遊びに来てくれる人が多くなって海がよろこぶと思います』―このコメントは、美化活動に取り組む児童の声です。ごみを拾う習慣が身に付き、自分たちの海をきれいにしたという達成感や、ありがとうと言われることの大切さ、ふるさとへの愛着心、そして、地域と触れ合い人とつながる良さを児童は感じ取っています。

学校長 出嶋 幸さん

浜中小の自慢は二つあり、ひとつは、住民が児童を見守ってくれて、地域の中で輝いている学校であること。もうひとつは、上級生が下級生の面倒見が良いこと。縦割り班以外でも、休み時間などに、上級生が先生代わりとなって下級生に遊びのルールを教えている姿が見られます。つながる大切さが伝統として継承されています。

山形県酒田市立浜中小学校

住所:山形県酒田市浜中字上村370-2
電話:0942-47-0069
全校児童数:61名
アクセス:庄内空港からクルマで約5分

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