児童主体の多様な美化活動が住民の心を動かし地域活性化に貢献
紺碧の海原と切り立った断崖が続く三陸復興国立公園。その景勝地のひとつで、北限の海女で知られる「小袖海岸」を校区に持つ同校では、希少な自然環境を守るために 1992 年から地域の清掃活動に取り組む。登校時に通学路沿いにあるペットボトルなどのポイ捨てごみを回収する「クリーンの日」、下校時に子ども会ごとに散乱している空き缶など地域のごみを回収する「全校クリーン活動」、そして、漂着ごみなどを回収する「浜クリーン活動」の 3 本柱で、25 年を経た現在も実施している。
全校児童が 28 名という小規模校の強みを生かして、異学年交流を深めながら美化活動に励むが、2011 年の東日本大震災、2016 年の台風 10 号と小袖地区は立て続けに甚大な被害を受けた。その様子を目の当たりにして立ち上がったのが児童だ。自分たちが住む地域住民の心を笑顔でいっぱいにしようと、花苗を育ててバス停や道路沿いなどに植えて、一帯を花や緑で彩ることでごみの発生を抑えるプロジェクトを開始。同時に、花育アドバイザーから学んだ知識を、6 年生が講師となって住民に寄せ植えプランター作りの講習会を開催。行列ができるほど評判を呼ぶなど、地域のために尽くす児童の様子は住民の心を動かすようになった。
美化教育と復興教育が連動し始め、地域資源にも着目するようになった児童は、地元の美しい風景を祖父母などに聞き取り、絵葉書を作成。観光客などに配布しながら観光資源をPR している。住民の大向(おおむかい)たつ子さんは、「元気な子どもたちの活動は、小袖地区の未来をとても明るくしてくれる」と感謝する。
散乱ごみを視点に始めた美化活動だが、地域のよさに目を向けたふるさと学習をベースに、教科や領域と関連付けたカリキュラムに発展。小袖地区には、「小袖漁撈唄(ぎょろううた)」という50 年もの間伝承されてきた伝統芸能がある。毎年保存会の人たちに教わりながら、しっかりと受け継いでいくという気概とともに、児童は着実に郷土愛を養っている。
岩手県久慈市立小袖小学校のみなさん
「26年にわたる環境美化教育の歴史が評価されたこと、地域や保護者を巻き込んでステージを広げて環境美化教育を実践してきたことが評価されたのを大変うれしく思います。」
岩手地方連絡会議 みちのくコカ・コーラボトリング株式会社
PRグループ 係長 浅井 勇貴 氏(写真左)
「今回受賞した小袖小の長年にわたる美化活動が県内各地の学校に広がり、この表彰事業が続くように支えていければと思います。また、環境活動がニュースで取り上げられるようにサポートしてまいります。」