神奈川県相模原市の麻布大学・相模原市・食環協の3者協働施策によるアダプト・プログラムの導入効果についてご紹介します。
・対象地点 相模原市淵野辺町 JR矢部駅から麻布大学正門前の両側歩道 延べ475m
・調査期間 平成17年10月〜平成20年10月(3年間)の毎月2回
・調査実施者 麻布大学 街美化アダプトチーム「アザプト」
・主な活動内容
<1>3年間の活動結果、散乱ゴミが66%減少した(1/3になった)。
<2>アザプト活動開始以来着実に月を追って散乱ごみが減少した。
本研究の詳細は麻布大学のホームページをご参照下さい。
麻布大学 研究・産官学連携 → サブメニューの社会連携
平成16年9月にアダプト・プログラム導入。散乱調査開始。
平成17年5月散乱調査方法を一部変更。
(今回紹介するデータは調査方法変更後のもの)
<1>1年半の活動の結果、散乱ごみが58%に減少
<2>アダプト・プログラム開始以来、着実に月を追って散乱ごみが減少
毎月のデータ(ブルー線)には上下変動が見られるが、これを3ヶ月移動平均した傾向線(ピンク線)は、ほぼ一定ペースで下降。 アダプト・プログラムの導入に伴って、ごみの発生(ポイ捨て)自体が減少していることが読み取れる。
(参考)散乱ごみのアイテム別構成比(個数構成比)
「たばこ吸殻」が抜きん出て多く散乱ごみ全体の3/4を占める。
次いで「紙くず」が13%、「ガム」が約10%であった。まちの美化に向けて必要なことはまず、喫煙者のマナー改善である。
鎌倉市、半田市、善通寺市の3市と食環協が共同でアダプト・プログラムの導入効果の検証に取り組みました。
国内では初めての取組みです。
全国の多くの関係者が、アダプト・プログラムには、<美化効果>および<啓発・意識効果>の二つの効果があることを認めています。二つの効果が定性的に認められている訳です。 今回の調査では、上記の内の<美化効果>の定量測定(検証)にトライしました。
調査設計上、<美化効果>を以下のように分解し、定義しました。
効果の判定方法としては、「時系列分析(たとえば、導入前対導入後)」、または「地点間比較」のいずれかが考えられますが、今回は、3市ともアダプトを導入して数年が経過しており、検討の結果、「地点間比較手法」を採用しました。
「調査対照地点=アダプト対象地点」と「比較対象地点=対象地点と類似した地点でアダプトを導入していない地点」の調査結果を比較して導入効果を判定します。
「比較対照地点」は「対象地点」と同一路線上の隣接区画に設定しました。
※APはアダプトプログラムの略
ごみの発生が多い場所をAPの対象としているため、導入後の「発生量」もAP地の方が4倍と多かった。発生抑制効果の有無は検証できませんでした。
「対象地点」と「比較対照地点」が400mも離れていると、条件が大きく異なり、発生量の比較にはならないことがわかりました。
散乱個数は、「比較対照地点」の1/2であった。美化が進んでいました。
一方、発生量が4倍、散乱個数が1/2であったことからすると、清掃効果は非常に大きかったといえます。
「AP地」が、「JR駅前」「市役所前」「武道館前」と最も人が集まる場所であった。
この場合、100mずれただけで、条件は大きく異なり、善通寺市と同様に、発生抑制効果の検証にはなりませんでした。
散乱個数については両者ほぼ同数であった。7倍の発生量の差がアダプト活動によって解消され、散乱量がほぼ同じであった。
半田市でも「清掃効果」の寄与は非常に大きかったことがわかりました。