悪石島は鹿児島から南へ300キロにあるトカラ列島5番目の島です。周囲約9キロ、住民は71人。悪石島小中学校は小学生6人、中学生3人、教師8人、PTA個数5戸の極小規模校です。ここで空き缶・空き瓶リサイクル活動がスタートしたのが平成10年。島の住民の全面的な協力を得て、熱心な活動が展開されています。活動が開始されてから、島内には空き缶・空き瓶の放置がなくなり、環境美化にも大きく貢献しています。
活動は、子どもたちが身近な環境問題に関心を持ち、豊かな環境づくりに主体的に参加し、責任のある行動がとれるような児童生徒を育てようという動機から始まりました。月に2回、第2・第4土曜日に実施。人数が少ないので、島の人々の力を借りなければなりません。保護者代表が前日の夕方に空き缶回収の放送を流し、各家庭で洗浄した空き缶を当日の朝、コミュニティセンターまで持参。子どもたちが引き取り、保管します。
一方、空き瓶回収は年に2回、保護者の軽トラックで島内を回ります。
島には処理施設がないので村役場が協力して空き缶・空き瓶をコンテナに積み込み、年に2回、村営船で運搬して鹿児島の回収業者に納品しています。島の人々にとっては、子どもたちは「我が島の宝」。子どもたちの活動を温かく見守って支援しています。
子どもがいない家の人は、バイクなどで空き缶を持ってきてくれます。回収日の朝は、集めた空き缶をコミュニティセンター前で専用の網袋に移し替え、一つ一つを点検し、汚れたものはていねいに洗って保管します。保護者も一緒に活動するので、子どもの活動は兄弟や姉妹を中心にグループ分けしています。
平成21年7月には皆既日食があります。私たちの島が日本で一番長く見られる場所です。ぜひ、きれいな島へ来てください。
島に処理施設がないため、活動が始まった10年前までは空き缶や空き瓶が貯まり放題だったと聞いています。運動会や卒業式などの学校行事には島民は全員参加。島をきれいにしようと始まったこの活動も、当然のように島民が全員参加して行うようになりました。島の人々の力添えがあったからこその受賞です。感謝の気持ちを忘れず、心をこめて後輩に受け継いでもらえるよう私たちもがんばっていきたいと思います。
回収日の朝は、8時~8時20分までの間に各自が空き缶を持ち寄ります。島の子どもたちは、中学校を卒業すると全員が鹿児島の高校に進学します。子どもがいない家庭や高齢者の方が多く、そういう人たちにとってはこの空き缶回収が子どもたちとコミュニケーションを持てる絶好の機会です。
みなさん「子どもと話ができてうれしい、生きがいになる」とおっしゃいます。コツコツと長く続けていかなければと思います。