中村中学校が昭和47年から実施している「クリーン修学旅行」は35年の歴史をもっています。
比叡山延暦寺の伝教大師が唱えた「一隅を照らす者は国の宝なり」の教えに基づいた小さな親切運動を実践するため、修学旅行の際に延暦寺に手作りのごみ箱や雑巾を寄贈したのがきっかけです。その後、奈良公園の清掃や見学場所の文化財などに雑巾の寄贈を含めた奉仕活動を続けてきました。その他にも、学区内のクリーン作戦や、校内でのアルミ缶のリサイクル活動も行っています。
35年続くクリーン修学旅行
学区内の清掃活動は、通学路を中心に学区内をきれいにしようということで始まりました。年に1回、通学路や道路、公園などを全校生徒と職員が1時間~1時間半かけて清掃しています。毎年の恒例行事となっており、中学生の活動に触発されて地域の人々の清掃活動も活発化。地域の人たち、とくに大人たちによるゴミの散乱防止に大きな影響を与えています。
アルミ缶のリサイクル活動は、資源の再利用によるエネルギーの節約、ゴミ減量を目的に昭和58年から始まりました。年に5回、1回あたり1人10缶以上を目標に、全生徒と職員が参加。達成率は毎回90%を上回っています。回収したアルミ缶の数は平成15年21055缶、平成16年29092缶、平成17年27284缶。回収後は業者へ搬入し、収益金は車椅子の寄贈など福祉活動に活用しています。一般家庭からも協力の申し出があるなど、リサイクル活動の啓発にもつながっています。
アルミ缶回収で車椅子などを寄贈
奈良では、みんな緊張感をもって黙々とやりました。以前は生徒が多かったので雑巾は1人1枚でしたが、いまは生徒数が減った分、1人が2~3枚つくって参加しています。延暦寺の和尚さんが講義で、ぼくらの活動に泣いて感謝してくれたことは忘れられません。
学区内の清掃活動やアルミ缶のリサイクル活動は、地域住民の方と交流がもてるのが楽しいです。「ごくろうさま」と声をかけられると、勤労意欲も増してきます。清掃活動もすんだら終わりではなく、毎回、全生徒が作文を書くことで自分たちの活動を振り返るようにしています。その作文は学校だよりに掲載され、保護者にも知らされます。校内の緑化活動も盛んで、年に数回、全校除草をしています。賞をいただけたのは、先輩たちが地道に築きあげてきた伝統があったからです。今後はそれを後輩たちに伝え、さらに引き継いでいってほしいと思っています。
クリーン修学旅行は35年間にわたり、本校の伝統行事として先輩から後輩へ連綿として受け継がれてきています。具体的に実践していることは、
ゴミ箱や雑巾の寄贈、雑巾かけやゴミ拾いですが、全国的にみてもユニークな活動ではないかと思っています。また、校内の活動としては年1回(6月)の学区内の清掃活動、年5回(5,7、9、11、2月)のアルミ缶のリサイクル活動も行っています。こちらは全生徒と教職員で行っていますが、結果的に地域の散乱防止活動につながっているのではないかと思います。
清掃活動をすることには三ついいことがあります。一つは、物を大切にするようになること。二つは、自然を愛するようになること。
三つ目に、優しさが生まれるということです。私たちは賞に恥じない清掃活動をこれからも続けていくいつもりです。今していることを、広報活動を通じて県全体に広めていければいいと思っています。
アルミ缶のリサイクル活動や学区内のクリーン作戦も、地域のみなさんは大きな関心をもって見守っています。中村中学校へは周辺の4つの小学校から進学してくるので、北から南にかけて学区も広く、かなりの範囲や距離を掃除していることになります。生徒がアルミ缶を回収することは地域の大人たちの散乱防止にもつながっており、大きな意義があります。中学生のいる家庭では夏休みに親子の奉仕作業として、学校の敷地内の草取りや植木のせん定なども行っています。今回の受賞は、先生方の指導のもと、生徒会がさまざまな活動を計画・実施してきた自主性を評価していただいたものと喜んでいます。
アルミ缶回収は地域のゴミ散乱防止にもつながっている
恥じない清掃活動をこれからも続けていくいつもりです。今していることを、広報活動を通じて県全体に広めていければいいと思っています。