第8回(2007年度) 散乱防止活動部門 最優秀校 協会会長賞 | 公益社団法人食品容器環境美化協会
環境学習支援

第8回(2007年度) 散乱防止活動部門 最優秀校 協会会長賞


栃木県真岡市立中村中学校

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受賞時(2007年度)の活動概要

同校には、1972年から連綿と受け継がれている伝統行事「クリーン修学旅行」がある。当初は、見学先の比叡山延暦寺などで、手縫い雑巾などを寄付したり、境内の清掃を行ったりしていたが、徐々に活動規模が広がり、神社・仏閣や公園などの観光地、宿泊旅館、バス会社などでも美化活動を実施するようになった。この取り組みは、生徒会を中心に企画・運営されている。自主的な奉仕活動として、生徒の環境意識が年々向上し、校区内の通学路や施設などの清掃活動へと発展。また、生徒会の環境委員会が、アルミ缶のリサイクル活動を開始した。収益金で車イスの寄贈を行うなど、社会貢献につながるボランティア精神が根付いている。そうした生徒の姿に触発された住民も、学校にアルミ缶を持ち寄るなど、協力を惜しまない。

受賞から12年後

2019年現在の活動状況

心整え無言で取り組む美化活動が自信と誇りをもたらす

1. 活動の広がり

心を整え、自主的に考えて無言で取り組む「一隅(いちぐう)清掃」は、自らを向上させるための実践活動の時間と位置づけ、全校で実施している(①)。その一隅清掃の集大成となるのが、3年生で行うクリーン修学旅行だ。見学先である比叡山延暦寺の国宝、根本中堂において、持参した手縫いの雑巾で同校の生徒が一心に掃除をするという貴重な体験は、約50年にわたり代々受け継がれている(②)。全学年が協力しあって作成した手縫い雑巾約400枚(③)は、修学旅行でお世話になる旅行会社、バスやタクシー会社、見学施設、宿泊先などへ寄贈(④)。こうした一連の美化活動は生徒に誇りと自信をもたらし、進んで取り組もうとする意識向上へ発展している。

2.環境の変化

時代に即したスタイルで現在も継続的に行っているアルミ缶回収活動(⑤)。3年前からは、地域住民がいつでも持ち込めるように、学校前に回収ボックスを設置したところ、目に見えて回収率がアップした。その地域回収分と生徒が持ち寄る学校回収分に分けながら、環境委員会がアルミ缶の数を集計している。以前は空き缶のポイ捨てごみがあったが、ボックス設置後はポイ捨てがなくなるなど、地域全体の環境意識も高まっている。

3.住民との関わり

学校と地域との距離が近く、クリーン修学旅行が代々受け継がれていることや、手縫い雑巾を全校生徒が作成し見学先へ寄贈していることなどを、住民は詳細に把握しており、そんな生徒を誇りに思っている。道ばたでは、元気よくあいさつする生徒とすれ違った住民が、感動して生徒を誉めるといったつながりの連鎖が生まれている。

4.これから

お世話になっている住民への恩返しの意味を込めて、今後は、アルミ缶回収の収益金で地域へ還元できることを計画している。また、樹木が多い環境を生かした美化活動にも注力する。

環境美化活動に関わる人たちの声

2012年度卒業生 田上 知佳さん(白鴎大学 教育学部 児童教育専攻4年)

いろんな美化活動を行った中でも印象に残っているのが、クリーン修学旅行です。訪問先の比叡山延暦寺では、最初にお寺の方の話を伺った後、それぞれ廊下や庭など分担を決めて清掃しましたが、国宝の雰囲気に圧倒されて、終始緊張しっ放しでした。大学生になった今、中学時代の思い出といえば、真っ先にこの体験を話すのですが、国宝に触れながら歴史を守るという貴重な活動は、自分の自信にもつながったと実感しています。今年の5月に中村中で教育実習を行いましたが、生徒が一隅清掃を行っていたり、手縫いで雑巾を作ったりする姿を拝見し、変わることなく伝統が続いていることを嬉しく思いました。

篠崎 正一さん(中村地区区長会長)

中村中の生徒が雑巾を手縫いしていることは住民の誰もが知っていて、よく話題に上ります。50年近く続くクリーン修学旅行は、それを根気よく支えてきた先生方の指導の賜だと思います。アルミ缶回収活動は、学校がボックスを設けてくれたことで、365日いつでも持ち寄ることができるようになったのでありがたいです。生徒は、あいさつだけではなく、自転車のマナーも良く、誰も見ていなくても交差点では必ず自転車を降りて渡っているので、住民は感心しています。こうした今の気持ちを大人になっても忘れないでほしいと願っています。

環境担当教諭 高松 明子さん・本田 洋一郎さん

本田「一隅清掃では、教員は一切指導をすることはありません。自分と向き合う無言の取り組みは、生徒に気づきをもたらすと感じています。強風の後、落ち葉掃きを率先して行ったり、道ばたに落ちているごみを当然のように拾ったりする生徒も増えています」

高松「炎天下で農作業をしていた住民に、同校の生徒が『暑いのでどうぞ』と飲み物を差し出し、それに感激した住民が後日御礼を言いに来校されたというエピソードがあります。自分ができることを考えながら取り組む一隅清掃が、生徒の心を磨き、地域に目を向けるきっかけになれば嬉しいです」

在校生3年 鶴見 隼哉さん(生徒会長-写真右)
上野 夏実さん(美化委員長-写真中央)
角井 洋紀さん(環境・福祉委員長-写真左)


角井「国宝の比叡山延暦寺を清掃できただけでも誇らしく嬉しく思うとともに、そうした環境を整えてくれた歴史に感謝をしたいです。アルミ缶回収活動では、缶の数の集計が大変ですが、地域の方の協力が目に見える作業なので、楽しみながら取り組んでいます」

上野「美化委員会では、クリーン作戦をしながらごみの分別を行っているほか、一隅清掃終了後、きちんと取り組めたか全校生徒に振り返ってもらい、その結果を集計して放送で報告し、みんなの意識が高まる工夫をしています。今後はボランティアにも参加したいです」

鶴見「アルミ缶回収活動は、モチベーション向上のためにランキング付けして競い合いながら実施しています。回収率の数字だけではなく、生徒全員が協力して活動できるように工夫したいし、地域の方といっしょに校区内の清掃活動をしていきたいと考えています」

学校長 菊地 諭美さん

同校では環境委員や美化委員主導の活動の他に、一隅清掃、比叡山延暦寺でのクリーン活動など明確な目的を持って協働で美化活動に取り組んでいます。やらされているのではなく、見通しを持って計画的に行動できる生徒が育っています。

栃木県真岡市立中村中学校

住所:栃木県真岡市中203番地
電話:0285-82-2542
全校児童数:327名
アクセス:JR石橋駅から車で約15分

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