2018年度アダプト・プログラム 導入効果検証調査 | 公益社団法人食品容器環境美化協会
アダプト・プログラム

2018年度アダプト・プログラム 導入効果検証調査


 2005年~2008年の3年間、アダプト・プログラムにおける清掃活動が散乱ごみの防止にどの程度、寄与しているのか検証するため、食品容器環境美化協会および麻布大学の協働プロジェクトとして、「アダプト・プログラム」および「散乱ゴミ調査」を実施した。
 2018年、以来10年が経過し、再び「同・協働プロジェクト」を立ち上げ、「さらなる美化の推進」および「散乱ゴミの実態調査」を実施し、「アダプト・プログラムの成果」を抽出する。
 調査結果は以下の通り。

【 目次 】

1. 概要

■当プロジェクトの主たる目的:

①「まち美化アダプト・プログラム」の実践、および効果測定
②「アダプトの情報発信」および「地域団体との交流・協働」
③「アダプト参加学生」および「一般学生」の意識調査

■活動期間:平成30年4月~平成31年3月

■活動の対象エリア:矢部駅~麻布大学間の歩道。往復距離475m

2018年度アダプト・プログラム活動効果検証調査


2. 「清掃・美化活動」および「散乱実態調査」の内容

■活動頻度:月2回(雨天中止)

■延べ活動回数:18回

■延べ活動参加人員:314人

■散乱実態調査<計測の手順>

【STEP1】

「目視」による個数調査を実施。(分類別カウントではなく、総個数カウント)

【STEP2】

目視終了後に「回収カウント調査」を実施。別添アイテム分類に沿って分類別にカウント。
<補足>前回調査(2005年~2008年)では「個数」および「重量」の双方の計測を行ったが、今回は散乱ゴミが少なく、「個数調査」のみで実態把握が可能であると判断した。

■散乱調査以外の「まち美化の活動」

  • 対象エリアに隣接した地点(上矢部公園内など)の散乱ゴミ収集。
  • 対象エリア内の散乱ゴミ収集以外の美化活動「落ち葉拾い」「植樹帯まわりの除草」など

3. 「清掃・美化活動」および「散乱実態調査」の内容

(1) アダプトの情報発信

①「エコプロ」への出展(12/6~12/8)

  • 開催期間・場所:2018年12月6日~12月8日 東京ビッグサイト
  • 大学・教育機関コーナーに出展
  • 立ち合い・説明:村山講師他、学生5名

②「環境教育関東ミーティング」に参加・発表

  • 開催期間・場所:2019年3月2日~3月3日 八王子セミナーハウス
  • 参加者:98名(自然・環境保護、まちづくり、環境教育の実践者・研究者など)
  • 活動の発表:テーマ「若者×アダプトの可能性」
  • ポスターセッションに参加

③「環境カフェ・まち美化スターダスト」の開催

  • 開催日・場所:2019年3月26日 麻布大学百周年記念ホール
  • 参加者:76名(自治会メンバー、社会福祉協議会、ボランティア団体、青年会議所地元企業、相模原市、大学職員・学生、後援者など)
  • プログラムなど詳細は後記

④「PRツール、PR媒体」による情報発信

  • 「チラシ(2種作成)」「当学ホームページ」「旺文社パスナビバナー広告」 により、アダプト活動、環境カフェなどをPR。

(2) 地域との交流・協働

① 地域清掃グループとの交流・協働

  • 上矢部団地自治会と交流(2018年7月21日)
  • 矢部第四自治会OBとのバーベキュー会と情報交換(2018年8月31日)
  • 淵野辺一丁目自治会との協働清掃(於、上矢部公園)(2019年3月3日)

② 地域の大手企業= FUJIOH(富士工業)との交流・協働

  • 訪問(それぞれの活動の情報交換と環境カフェへのお誘い)(2019年2月21日)
  • 協働清掃(2019年3月22日)

③ アダプト活動時現場での、地域との交流・協働

  • 上矢部公園での「季節イベント」および「児童との協働清掃」「児童とのゲーム」
  • 通行人、公園利用者との触れ合い情報発信」および「地域との交流・協働」

2018年度アダプト・プログラム活動効果検証調査 2018年度アダプト・プログラム活動効果検証調査

<サマリーシート①>

麻布大学アダプトプログラムの取組み全体像 2018年度アダプト・プログラム活動効果検証調査


4. 散乱調査の結果と美化効果の検証

(1) 散乱ゴミ総数の推移

前回調査~今回調査を通じた長期的視点から、美化効果の検証を試みた。

<要約>

① 前回は、3年間のアダプト活動の成果が、顕著に現れた。

  • 3年間での散乱ゴミの減少幅は、「年度平均ベースで約60%減」「期首と期末の比較では70%減」と全国的に類を見ない結果であった。
  • この最大の要因は、「アダプトの美化効果」であると考えるが、この他に、いくつかの要因が重なった。主要なポイントは以下の通り。
    • 鮮やかな色彩の統一ウェアを着用した大学生の活動が大きくアピールした。
    • このエリアは外部からの昼間流入人口が少なく、美化効果・啓発効果が現れやすい。
    • アダプトに触発されて、商店の自主清掃など、地域の美化活動が活発化し、アダプトとの相乗効果が生じた。

② 今回は、10年間の空白の後の活動再開であった。このため、散乱状況に関して種々の観測がある中での再開であったが、下図の通り、前回最終年度並みのレベルでのスタートであった。以降、期の半ばまでは微減傾向、後半は微増傾向、年度平均としては、前回最終年度より24%の減少であった。

  • この10年間、地域の清掃活動が美化水準を保っていたことは明白であり、このエリアでは、前回活動の啓発効果が持続していた。
    • 上記のようなエリア特性ゆえに、「アダプトの啓発効果」を端的に抽出することができたのであると考える。当エリアは、アダプトのケーススタディーのための条件が揃っている。
      今後の推移を見守ることにより、アダプトの効果がどのように定着するのか、追跡が可能である。なお、今期中盤以降、従来の傾向とは若干異なるパターンが見受けられる。この動向を見極めることも課題の一つである。

2018年度アダプト・プログラム活動効果検証調査

(2) 散乱ゴミの地点特性別推移

前回同様、対象エリア全体を5区画に分けて区画別にデータを計測した。
区画別に推移を追うと、第4区画(公園沿いの歩道)と、これを除いた残りの区画(第1+第2+第3+第5区画)ではパターンが大きく異なることがわかった。第4区画を「地点A」、残りの区画を「地点B」と略する。推移を図示すると下記の通りである。

<要約>

「地点B」は、4つの区画の合計であり、前回の初期においては、散乱ゴミは、「地点A」の2倍以上であった。しかし、活動の進行とともに、散乱が急激に減少。10年後の今回も微減傾向にある。一方、「地点A」は前回~今回を通じて、明確な減少傾向が認められない。また、今回については、期の半ばから微増傾向にある。この地点別の跛行性の原因としては下記の諸点が挙げられる。

当初、「地点B」の中では、商店・施設に面した歩道で散乱が多かった。アダプト活動の継続に伴って、これに触発されて、商店の自主清掃が活発化し、アダプトの清掃と相まって、散乱が大幅に減少した。この関係は、商店への聞き込みでも確認された。

「地点A」には歩道と公園の間に植え込みがある。「ポイ捨てされ易い立地」でり、さらに、風に飛ばされた細かいゴミが集まり易い場所でもある。美化が進みにくい原因はここにあると考える。また、「地点A」の植え込みが深く、ゴミは拾い難い。回を追うにつれて、学生の練度が上がり、より細かく拾うようになった。今回、期の半ばから、やや右上がりの傾向を示しているのは、この影響ではないかと考える。

2018年度アダプト・プログラム活動効果検証調査 エリア全体/公園沿いの植込み

2018年度アダプト・プログラム活動効果検証調査

(3) 散乱ゴミのアイテム分類別推移

前回同様、「タバコの吸い殻」「飲料容器」「その他の容器包装」「紙屑その他」の5分類に大別して調査した。前回と今回では、散乱個数の推移は、分類別にパターンが大きく異なった。

<要約>

散乱個数が大きく減少したのは「タバコの吸い殻」である。

前回当初は、500個を超えるレベルであったが、今回調査では、50~60個と1/10に減少した。エリア全体の散乱ゴミの減少をもたらしたアイテムは「タバコ」である。日本タバコの公表データによると、喫煙率の低下は毎年0.7%前後過ぎない。従って「吸い殻激減」の主たる要因は、喫煙者のマナー改善と地域の美化活動によるものと言える。アダプトの美化啓発も大きな要因の一つであろう。

「タバコの吸い殻」と対照的な動きを示しているのは「紙屑その他」である。前回調査では、3年間を通してみると微減であったが、最終年度は横這いで推移し、今回は微増の傾向を示している。全てのゴミが「減少」または「微減」する中で、「紙屑その他」のみが減少しない原因は、解明し切れていないが、既述の「植え込みの中のゴミ拾いが熟練した」ことも影響していると考えられる。

「その他の容器包装」は、前回は微減、今回は横這いである。下限値に近づいている感がある。

2018年度アダプト・プログラム活動効果検証調査 2018年度アダプト・プログラム活動効果検証調査

(4) 「目視調査」と「回収・実数調査」

今回も「目視調査」と「実数調査」の方法を行った。「目視調査」は、見た目の散乱状況(美化水準)把握のために行ったが、同時に、「実数調査」に代わる「簡易調査」としての可能性を探ることも目的であった。
以下にその結果を要約した。なお、公園側の歩道には植え込みが茂り、「目視調査」の対象エリアとしては不適であるため、「公園側を除く区画合計(前述の地点B)」におけるデータを採用した。

<要約>

「目視調査」と「実数調査」の推移は下図の通りである。

前回(第1期)~今回(第2期)を通じて、両者の上下動は、ほぼパラレルに推移。また、傾向変動についてもギャップは少ない。従って、「目視結果」は実態の動きとリンクしていることが確認される。なお、「目視数」と「実数」の差を表す「ギャップ率(目視/実数×100)」は【前回(第1期)=64%、今回(第2期)=51%】であった。この値は、実態を逆算的に把握する一つの目安になる。ただし、絶対数が少なくなるに従って、結果として「ギャップ率」は高くなる傾向があることは考慮しなければならない。

調査エリアの地域特性如何で「ギャップ率」は異なるであろうが、一般論として、散乱実態がどのように推移しているかを時系列的に把握する目的であれば、簡易アプローチとして「目視調査」も有効であると考える。

2018年度アダプト・プログラム活動効果検証調査

散乱実態調査の結果まとめ 2018年度アダプト・プログラム活動効果検証調査


5. 環境カフェ「まち美化スターダスト」の開催結果

(1) 概要

  • 開催日:2019年3月26日
  • 主催:麻布大学
  • 後援:相模原市、神奈川県、公益社団法人 食品容器環境美化協会
  • 参加者:76名(相模原市役所職員、近隣自治会メンバー、中央地区社会福祉協議会、相模原青年会議所、ボランティア団体、(株)日本フードエコロジーセンター、(株)オオスミ、地元企業、大学職員、学生など)

(2) プログラム

■オープニングスピーチ:麻布大学 学長 浅利昌男氏

■後援者挨拶:公益社団法人 食品容器環境美化協会 専務理事 山本景一氏

■麻布大学 環境科学科の紹介:麻布大学 環境科学科 学科長 遠藤治教授

■第1部:アダプトプログラムの導入効果とSDGs

  • 『まち美化とSDGs』(麻布大学環境科学科 講師 村山史世氏)
  • 『データでみるアダプト・プログラムの導入効果』(本研究アドバイザー 谷津直生氏)
  • 『「SDGsレンズ」ついて』(環境科学科 渡邉菜乃花さん、山林亮太さん)
  • 質疑応答

■第2部:まち美化の星たち

  • 『アダプトに参加した学生の声』(環境科学科 相田彩乃さん、三橋晴香さん、齊藤摩里奈さん、野澤侑里菜さん)
  • 『地域の清掃活動を毎月・長年継続している地元企業』(「FUJIOH」コミュニケーションデザイングループ部長 岡田秀美氏)
  • 『街美化アダプト制度』(相模原市市民協働推進課 主事 今井恵氏 )

■オープンマイク(交流会)

「相模原青年会議所・平野晋哉氏」、「麻布大学 地域連携センター長・川上泰准教授」、「淵野辺一丁目自治会 副会長・菊池健太郎氏」、「FUJIOH」

■クロージングスピーチ:麻布大学 生命・環境科学部 学部長 稲葉一穂教授

(3) 「環境カフェ参加者」アンケートのサマリー

回収票:18票(関係者を除いた来場者46名の4割)

主要な意見の抜粋:

「環境カフェ」への総評
  • 「有意義だった」「勉強になった」「興味深く参加できた」との所感が多かった。
  • 「マイナス意見」や「注文」に類する意見はなかった。
「学生の活躍」への意見
  • 学生の行動力を評価する意見が多かった。
  • また、学生の思い出で終わらず、「社会に出ても有意義な活動を継続して欲しい」との応援メッセージもあった。
    <補足> 会場の雰囲気や参加者の表情から、学生(=若者)が積極的に地域に出て活動する姿が、好意的に受け止められていることが感じ取れた。
「報告内容・活動内容」への意見
  • 単なる美化ボランティア清掃に終わることなく、効果の検証まで踏み込んだことを評価する。
  • アダプトの活動が⇒「地域団体との連携」⇒「企業との協働」⇒「まちづくり」にまで発展する可能性が理解できた。
  • これからも、美化活動にとどまらず、いろいろな地域活動を紹介してほしい。
「麻布大学に対して」
  • これからも「大学、地域団体、地域の企業などの連携」を進めるような場や機会を設けてほしい。
  • 地域連携のモデル校的な活動に期待する。

6. 学生の意識アンケート調査

(1) 麻布大学・一般学生へのアンケート調査

  • 対象:「臨床技術科」「食品化学科」「獣医学科」「環境科学科」「動物応用科」の各科1年生。(アダプト参加者を含む)
  • 実施時期:2018年6月~9月(各科別に、可能なタイミングでアンケートを実施)
  • 実施のTPO:村山講師の講義時間の中で実施。アダプトに関する質問が含まれているため、同プログラムについて事前に若干の事前説明を行った上でアンケートを実施。
  • 回収票:490票(男性219・女性270・不明1)
<集計結果の抜粋> <アンケート結果から読み取れた示唆>

①「授業以外の活動」への参加経験者の割合と参加理由

  • 有給仕事の経験者割合:7割~5割(科によって大幅に割合が異なっていた。
    ⇒その理由:「バイト」が6割超。2位は「社会経験」で2割程度。
  • 社会的活動経験者の割合:50~60%
    ⇒その理由:1位「授業・部活など」4割前後、 2位「興味・関心」2割強、3位「知人の勧め・地域イベント」2割弱。
  • (高校)~大学1年生の半ばまでに、半数以上の学生が「有給での仕事」および「社会的活動」を経験している。従って、この時期に彼らに「どのようなモチベーションを与えることができるか」が社会にとっての大きな課題である。

② 参加した「社会的活動」の内容

  • 最多:「ゴミ拾い・清掃」5割。
    2 位 :「災害関連」と「イベント関連」が並び、各1割強。
  • 参加したボランティア活動の中では、「ゴミ拾い・清掃」が抜きんでて多い。まち美化が、社会人同様、学生にとっても、最も身近な社会的活動であると言える。
  • 上記の反映として、「今後のしたい社会的活動」として「清掃・美化」が上位を占めている。なお、麻布大学の特性として「動物関連の活動」も上位に位置している。 〇このアンケートの対象者は、ほとんどがアダプト参加者ではないのに「清掃・美化」への関心が高いことは、注目に値する。

③「今後したい社会的活動」について

  • 「なし」+「記入なし」が6割~7割
  • 「あり」が3割~4割
    ⇒「あり」の内容:分散型であるが「清掃・美化」「動物関連・児童対策」「単にボランティア」などが比較的に上位

④「地域の課題・問題点」として意識されている事項

  • 1位「ゴミの散乱・回収問題」で約3割。
  • 以降、「少子高齢化など」「交通事情・運転マナー」「治安悪化」などが続く。
  • 既述の諸点と同様に、「地域の課題」として意識されている事項でも「ゴミ・散乱問題」が最上位であった。年齢を問わず、日々 の生活に密着したテーマであることが確認される。

⑤ アダプトへの参加意向

  • 「参加したい」3割強。
    ⇒その理由:1位 「まちをきれいにしたい」約5割。2位「社会経験」3割強。
  • 「参加できない、条件付きの参加」6割弱
    ⇒その理由:「時間がない」6割で最多。「否定的な意見」が2割程度あった。
  • アダプトへの参加意向は、3割強であった。高率とは言えないが、対象となる場所も特定されていない中での「3割」は少なくないのではないか
  • また、参加できない理由の6割が「時間がない」ことから、麻布大学では、実験・実技に割かれる時間が比較的多いのではないか。
  • なお、アダプトに関する情報が的確に伝われば、参加意向の有無にかかわらず、アダプトの意義は、一定の評価を得ることも確認された。

⑥ アダプトのメリットとして選択されたポイント

  • 「街がきれいになる」が最多で約6割
  • 以降、「散乱抑制啓発」「達成感」「地域との交流」など

(2) アダプト参加学生への最終アンケート

  • 実施時期:2019年3月15日(今年度アダプト活動最終日の活動終了後)
  • 対象者:7名(就職活動と春休みが重なったため、参加人員は通常の約半数)

<アンケート集計結果からの抜粋>

  • 活動を通じて一番印象に残ったこと⇒「地域との交流・接触・会話」に回答が集中した。
  • 地域住民の反応をどう感じたか⇒ほぼ全員が「アダプト活動に関心を示した人もいた」と感じていた。反応は強くも弱くもない程度と読み取れる。
  • 通行人からの声掛け⇒全員が「だんだん多くなった」と回答。
  • 一般学生が関心を示したか⇒ほぼ全員が「どちらともいえない」との回答。手応えは感じていない。
  • アダプト活動から何を感じたか
    • 遣り甲斐を感じたか⇒全員が「遣り甲斐」を感じて活動していた。
    • 地域への関心が高まったか⇒ほぼ全員が「高まった」と回答。
    • アダプトの意義として実感したこと⇒「地域貢献」「社会参加」「地域との交流」など。
    • 日当について⇒ほぼ全員が「あればうれしい」「なくてもよい」などと回答。一年間を振り返って「必須条件ではない」と実感。

<アンケートから読み取れる要点>

  • アンケート当日に活動参加したメンバーは、「4月からの皆勤者」が多かった。従って、肯定的な意見が多かった。プラスのバイアスがかかったと言えるが、同時に、長期経験者の意見として、重視すべき事項である。
  • 特に、「地域との交流」が学生たちの「遣り甲斐」につながった。「アダプト活動そのもの」と、様々な「イベント企画」がこの好循環をもたらした。
  • 特に「公園」での住民との触れ合いが好結果を引き出した。ここから、今後に向けてヒントが得られた。当初、「住民(通行人)の反応」は乏しく、この点では、低位からのスタートであった。しかし、これも徐々に好転に向かい、この上向き傾向が活動を後押しした。
  • このエリアでは、実験に適した地域特性もあり、アダプトの直接効果と上記の諸点が相乗効果を生んだ。この結果、アダプト活動が内包している「多面的な効果」を参加者が実感できた。当初は「アルバイト感覚」で参加した学生の中にも、「日当」に関する意識の変化が感じられる。

7. 「成果の持続」と「今後の可能性」に向けて

(1) これまでの美化活動の蓄積:

  • 「地域の美化」の実績。「アダプト」+「地域団体・企業・商店」の自主活動により、エリアの散乱ゴミが大幅減少。この中で、「アダプトの啓発効果」も確認できた。
  • 「自治会」「地元企業」との「交流と協働清掃」が実現した。今後も協働活動を継続させる糸口をつかんだ。
  • 公園で実施した「季節イベント」および「児童との触れ合い・協働清掃」などが定着した。児童が公園の清掃を楽しむようになった。同公園がまちづくりの一つの拠点となる可能性を見出した。

(2) 活動を通じて把握できた「エリア情報」:

<地域特性>

  • 域外からの昼間人口の流入が少なく、社会実験に適している。

<各活動主体間の「ヨコの連携」の必要性>

  • 各団体、企業はそれぞれ活動しているが、ヨコの連携には積極的ではない。誰かが「交流の場」を設営する必要ある。
  • 交流を通じて、アダプトを含めた地域活動の、さらなる拡がりが期待できる。

<年齢層の偏り>

  • 中堅層、若手への参加呼びかけが不足している。これが、アダプトの新たな担い手の発掘につながる

<地域は若者・学生の地域活動を歓迎>

  • 「環境カフェ」「地域との交流」などを通じて、若者・学生の影響力の大きさを実感した。また、若者側にとっても、地域活動の先輩との触れ合いは、一つの魅力ポイントである。

<まち美化は最も身近な地域活動>

  • 今回のプロジェクトを通じて確認された重要ポイントである。
  • 「地域活動の入り口」であり「住民同士の顔合わせ」への最短コースである。
  • 一般学生へのアンケート結果:「ボランティア経験」「今後のボランティア意向」の双方で、「まち美化」が上位にあがった。

8. 本調査に関する研究論文(麻布大学)

本調査を委託した麻布大学・村山先生、谷津氏による論文は以下のページからご覧いただけます。
散乱ごみの実態調査によるアダプト・プログラムの効果測定(麻布大学)

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