食品容器環境美化協会

表彰校紹介・最優秀校(秋田県・秋田県立比内支援学校たかのす校)

最優秀校

活動内容

美化活動で生徒が頼られる存在になり共生社会の基盤が整う

秋田県北部、北秋田市鷹巣（たかのす）にある同校。森に囲まれた自然豊かなロケーションに佇み、小学部、中学部、高等部からなる支援学校として 1977 年に開校した。地域をフィールドに、地域とともに育ち、地域に感謝される学校をスローガンに掲げ、さまざまな環境美化活動を行っている。中でも、中学部が取り組む、通学路や周辺道路、老人介護施設などでのごみ拾いや清掃活動は、長年続く恒例行事として地域に定着。回収したごみは、計量、分別してから廃棄し、活動前と活動後の写真を撮影することで、生徒自身が取り組みの成果を実感できるように工夫を凝らしているのが特徴だ。時には、ガラスなど危険なごみも散乱しているが、生徒は経験的に学んで、環境への意識を高めている。

また、自分たちが使用している最寄りのバス停や駅舎でも、清掃に励み、季節の花々を植栽。そうした様子を見守る住民からは、感謝の言葉が寄せられている。自分たちの活動の結果に自信を深めた生徒は、一人暮らしのお宅や寺院などに出向いて、除草や除雪にも励む。いずれも、ごみが出る雪解け直後、雑草が伸びる夏、雪が固まる寒い冬など、住民が困るような時期に合わせて生徒が活動するために、地域からは自然と期待される存在となってきた。それが、やりがいに結びつき、ひいては地域の一員としての自覚を深めることにつながっている。

生徒にお茶の体験教室を開いている高昌山龍泉寺の住職、佐藤俊晃さんは、「お寺は、法事とかお葬式の時に来る場所という印象が強いですが、生徒さんたちが清掃活動に来てくれることで、敷居が下がり、来やすい場所になっているのはとてもありがたいと思っています」と感謝の気持ちを寄せる。

中学部ではこうした一連の取り組みを「みんなのためにプロジェクト」と命名。これからも、地域のためにできることを考え、地域のニーズを把握しつつ、生徒の実態に応じて、SDGs を見据えた取り組みを目指す構えだ。地域社会にとっては、障害を持つ人たちへの理解にもつながり、環境美化をツールにした、共生社会の基盤が着々と築かれている。

授与式

表彰授与に際し、コメントをいただきました。

◆ 学校長鎌田裕之様

『地域での体験活動を通して、生徒にとってはやり遂げたという達成感、自分たちが役に立っているという有用感になり、他の活動への自信や意欲につながっていくだろうと思います。結果として将来、地域で生活、働くための力になっていくと考えています。この受賞を励みに、これからも地域のためにできることを考え、微力ではありますが、地域貢献活動を続けていきたいと思います。』

◆ 生徒代表宗像乃葵（のあ）さん

『文部科学大臣賞という大きな賞をもらうことができ、清掃活動や除草、除雪などを続けてきて良かったと思います。私たちのやっている活動が評価されて、地域のためにこれからも頑張ります。地域の清掃や除草などを中学部が頑張っていることを覚えてもらえるように、地域の一員として活動していきたいです。』

◆ 秋田県教育庁特別支援教育課指導主事進藤拓歩（たくほ）様

『県としてもこのような賞を受賞することができたのは大きな喜びです。県内にあるさまざまな特別支援学校にとっても、今回の受賞が大きな励みになったと思います。特別支援学校の生徒さんが地域の中で大きな役割を果たして、卒業後の自立と社会参加・生活になじんでいくことは、とても重要なことだと考えています。他校にもこのことを発信して、県全体として取り組んでいけたらと思います。』

◆ 青森地連阿部嘉氏（みちのくコカ・コーラボトリング株式会社）

『御校は、教育課程に環境美化と地域貢献が明確に位置づけられていること、そして長年にわたり、地域とのつながりを大切にしてきたことが受賞に結びつきました。素晴らしいことだと思います。こうした環境に対する取り組みは、皆さんの地域を良くするだけでなく、皆さん自身の心も豊かにするものだと思います。今回の受賞に自信をもって、より立派な大人に成長してくれることを願っています。』

＜授与式概要＞

立比内支援学校たかのす校（秋田県）
日時： 2022年2月4日（金）13:15～
場所：同校研修室
出席者は下記の通りです。
・学校長　鎌田　裕之様
・副校長　伊藤　登美子様
・生徒代表　宗像　乃葵さん
・生徒代表　木村　真子さん
・秋田県教育庁　特別支援教育課　指導主事　進藤　拓歩（たくほ）様
・青森地連　阿部　嘉氏（みちのくコカ・コーラボトリング株式会社）
・高橋　大介氏（みちのくコカ・コーラボトリング株式会社）