受賞校の皆様、おめでとうございます。
それぞれの学校の特色を聞くと、私たちの審査が「間違っていなかった」と思うと同時に、生徒さんあるいは児童の取り組みに頼もしさを感じ、感動しました。特に、廃校になってしまう水俣の学校で「環境を汚してはいけない」とお子さんたちが一生懸命やっていることに、非常に頼もしさを覚えました。
こういう活動は、「○○だからやりなさい」と、大人が訓戒を言っていては継続できません。お子さんたちが自ら気づいて、地域の方と連携しながらやることに意義があると思います。私たち人間は、自然の恵みを用いながら暮らしを作ってきました。その結果が、散乱をする、リサイクルをおろそかにするということでは、後の世代に禍根を残していくことになると思いますので、それを一緒に頑張っていかなければなりません。私は、自然に働きかけて、緑、水、土、土の中の微生物などに生かされて、私たちが存在しているということを、今改めて感じている次第です。
今の学校教育では、どうしても、「学力テスト」「知識をつける」という「はっぱ」をつける教育を一生懸命やっている気がしますが、そうした「盆栽」のような強制的に形を作られる教育ではなく、自主的に、自立的に生徒さんの独創性・主体性を尊重していくべきです。そのためには、学校の先生、異学年交流、地域の方たちと連携しながらやっていかなければならないと思います。
司馬遼太郎先生は、「21世紀へ生きる君たちへ」という著書の中で「人という字は支えあってできている」と言っています。私たち人間は、社会を作っているわけです。その社会のあり方として、便利で飲みやすい容器を作ってきたわけですが、私たちの責任において始末をする、対応していくことが必要になってきています。今回受賞された皆様だけでなく、受賞されなかった皆様も含め、たくさんの多様な学びが、地域での取り組みがあったと思います。
昨年10月に名古屋で生物多様性国際会議がありましたが、私は、人間の価値観、文化も、「多様性」という言葉で考えると、非常にしなやかな社会を作っていけるのではないか。そんな大切なキーワードではないかと思っています。かたちにはめ込むのではなく、しなやかに対応していく学びが、全国あちこちにあるということを、改めて皆様から教わりました。
皆様の学びは、次の世代に引き継がれて、常に新しい力、情熱を吹き込んで、次の発展へつながっていくことと思います。それこそが持続可能な日本を作っていく原動力になると思いますし、また、皆様の学校や地域で継続していただくことを願って、講評の言葉とさせていただきます。受賞おめでとうございました。