第12回(2011年度)「環境美化教育最優秀校」「特別優秀校」活動紹介

第12回(2011年度)「環境美化教育最優秀校」「特別優秀校」活動紹介TOP 公益社団法人食品容器環境美化協会

審査講評 審査委員長 東海大学教授 東京芸術大学名誉教授 小澤 紀美子氏


本日受賞されたみなさん、おめでとうございます。

昨年までは小学校部門と中学校部門が別々に設けられていましたが、本年度は制度が少し変わりまして、部門を区分せずに各都道府県で推薦された小中学校から4校を選定する形になりました。その4校を選出するにあたっては、各審査委員が事前に書類を詳細に読み進めながら、主に次の2つの視点から審査させていただきました。ひとつは、継続して取り組んでいること。そしてもうひとつは、活動にきちんとした学びがあることです。そうした観点で申し上げますと今回、最優秀賞の一つである「文部科学大臣賞」は、全審査委員の意見が一致し高得点となり、スムーズに決まりました。

いま、地域住民とともに児童生徒が地域で学ぶスタイルの学習が難しくなってきています。しかし、環境に関しては、地域の方々といっしょに体験し、そこで学んだことを広く情報発信していきながら、地域と絆を深めていくことがなによりも大切です。そういう意味では、環境は教科書で学ぶことが難しい分野ですが、今回受賞された4校はしっかりと実践されていて、住民と交流を図り、地域に見事な広がりをみせていました。

いっぽう、取り組み内容については、科学的な根拠も必要となります。受賞校の一つに、猪苗代湖のアサザプロジェクトに取り組んでいる学校がありました。私も若いときに、霞ヶ浦のアサザプロジェクトに出合い、沖の波をアサザがやわらげるのを見たり、砂に生息する生き物が戻ってきたのを実感したりしてなんて素敵な活動なんだろうと感動したのを今でも覚えています。皆さんは、そうした体験を共有しながら、そこで学んだことを次のステップにしっかりと生かすことができていてとても素晴らしい活動をしていると思いました。ここで重要なのは、活動を通じて単に自分自身の価値観を形成するだけではなく、感動を共感する仲間を増やしていくよう発信していくことです。さらに、このように地域と連携しながら取り組む学校の活動内容を、推薦する行政がしっかりと把握していることも重要なポイントになってきます。

本年度「農林水産大臣賞」を受賞したのは、東京都大田区にある中学校です。なぜ、地方の農村地域ではなくて都内にある学校が受賞したのかというと、同校の歴史にゆかりのある海援隊に結びつけて農援隊を作り、学校内外に活動内容を情報発信しながら、一つひとつ問題を克服し腐葉土を作ったりホタルを復活させたりする体験に結びつけていったからです。これから農業を支えるのは、農家だけではありません。大都市で消費している我々がきちんと支えていくことも環境に寄与する大事な要素のひとつです。

また、今回は、環境美化やリサイクルの分別の他に、生ゴミを微生物の働きで土に返すという活動を行っている学校もありました。これは日本の伝統的な知識で、教科書には載っていない環境活動です。こうした科学的な根拠のある取り組みを続けながら、感動・共感したことを地域社会に発信しコミュニケーション能力を磨いて、みなさんが中心となって今後日本全体に普及させていくことを期待して私の講評とさせていただきます。

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