皆さん、本当におめでとうございます。
私は長く審査員を務め、また環境教育プログラムなどを作っておりますので、皆さんが提出された書類以上のことをおやりになっているということを知っています。書類ではなかなか表現できないところもあったと思いますが、6人の審査員で詳細に読ませていただきました。その中で感じたことをいくつか申し上げます。
私の好きな作家、司馬遼太郎さんの作品に「二十一世紀に生きる君たちへ」というエッセーがあります。その中で自然こそ普遍の価値であると言い切っていますが、皆さんはリサイクル活動や散乱ゴミを集めている中で、命というものを非常に感じたのではないかと思います。また、司馬遼太郎さんは「人間は自分で生きているのではなく、大きな存在によって生かされている」とも書いていますが、私は、特に昨年の3.11以降、日本の自然の在り方というのがよその国と違うということを感じています。時には牙をむく自然の中で、私達は暮らしを、営みを、命を、繋いできています。そのことをきちんと言っていかなければ、また、肝に命じていかなければいけないのではないかと思います。
今回の3.11ではたくさんの方が命を落としましたが、私達は命を大事にしながら、与えられた使命を果たしていくことが大切です。私は皆さんの活動を見て、司馬遼太郎さんが言っている頼もしさというものを感じました。未来を生きる皆さんは、二十一世紀を生き抜いて、これからの社会を作っていく皆さんであるからこそ、頼もしいと感じます。
また、かつては地域の大人や子ども達が異学年で交流できたのですが、今はそれを学校でやらなければいけない状態になっています。リサイクル、あるいは散乱ゴミ防止活動を通して、先輩達、お兄さん、お姉さん達が「あ、こういう生き方をしている」あるいは、地域の方達から皆さんは学んでいくことができたのではないでしょうか。
昨年11月、大谷小学校と大谷中学校で開催された全国小中学校環境教育研究会の大会に出席しました。そこでお子さん達がどういう学習をしているかというと、単に教科書に書いてあることを学んでいるのではなく、地域のことをしっかりと学んでいます。農業、それから海のこと漁業、そして林業のこと。そして、防災リーフレットをどうく作ろうか、地域で命を長らえていくにはどうしたら良いかということをやっていましたが、学びはつながっていると感じました。
私達は、単に知識を学ぶ、口を開いていれば放り込んでくれる、そういう授業ではないことを全国に発信していかなければいけません。市民として、その地域の住民としてどう生きていくかを、こういった体験活動を通して学び、先生達は皆さんの才能を引き出す役割をしていらっしゃるわけです。ですから自分はどういった生き方をしたいのか。どういった方向に進みたいのか。そして、お姉さんお兄さん、それから地域の方達から学んで、自分の個性を伸ばして、より良い日本を築く第一歩にしていただきたいと思います。皆さんがある意味で希望の風を吹き起こしてくださる方達だと思いますので、今後の活動、学びに期待しています。